北欧神話、ゲルマンの伝説に出てくる。エイリーメ王の娘でありヴァルキューレでもある。
ヒョルワルド王とシーグルリンの間に生まれた子供が、大きくなっても一言も物を言わず、名前もなかったのを、ある時9人のヴァルキューレが馬を駆って通りかかり、その中のスワワが彼に「ヘルゲ、一言も話さないでいる間は、国を治めるまで時間がかかるでしょう」と言った。
ヘルゲと呼ばれた若者は「名前を与える者はその名がしっかり定まるよう贈り物を一つするものだ。しかしお前が俺に従うのでなければ名前も贈り物も受け取らない」と言い返した。
スワワは「シーガルスホルムに数ある剣の中に一振りの名剣があり、刃には血のような赤い蛇がうねり柄までその尾がうねっている。握りは戦いの勇気をかきたて、刃先は恐怖をかきたてるのです」と贈り物に剣を与えると言った。
ヘルゲは名前を得ると、父王に母の仇のフロドマール王を討つ旨を伝え、軍勢を借り、シーガルスホルムの剣を取ってきてフロドマール王を倒した。後にエイリーメ王のもとへ行きスワワに求婚し二人は結ばれた。
ヘルゲの兄弟のヘディンが、ある夜狼にまたがった女トロールに出会い、誘いを断るとブラギの杯を飲む時後悔するだろうと言い残した。ヘディンはブラギの杯を手に彼の名誉のための行為を誓う時、意識が錯乱して兄弟の婚約者スワワと結婚すると誓ってしまった。
意識を取り戻し後悔するヘディンにヘルゲは「自分はフロドマールの息子のアルフと決闘することになった。それは自分の死ぬ前しらせではないか。それなら双方にとって運命は好転する」と言った。
ヘルゲは決闘で重傷を受けるとスワワを呼び、「自分のことを愛しているならヘディンと一緒になって欲しい。ヘディンの出会った女は彼のフュルギエだったのであり一族のフュルギエはヘディンの元にいるのだ」と話し、スワワも今までは他の人と一緒になるなど考えられなかったけれどもヘルゲの言うとおりにすると言った。ヘディンはアルフを倒すまでは戻ってこないと言った。
後の人々が言うにはヘルゲとスワワは生まれ変わりフンディング殺しのヘルゲとシーグルンになったという。
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